アーティスト・MANONのエッセンス。“七変化”を魅せる、自分らしさの表現。
モデルとして、アーティストとして、同年代を中心に多くの支持を得ている00年代ガールのアイコン・MANON。ファッションにおいても、音楽においても、MANONの表現はまさに“七変化”。その瞬間の感情や興味、そして関わるヒト・モノ・コトから純粋なるインスピレーションを受け、さまざまな形でMANONはアウトプットする。そんなMANONをつくるエッセンスとは? インタビューの後半では、ハマっていることや大切にしているライフスタイル、ファッションやメイクへのこだわり、作品を生み出す上でのインスピレーション、そして“自分らしさ”などにフィーチャー。その上で、MANONは10年後に思い描く未来と、理想の自分についても語ってくれた。
MANONという“共通認識”から作品をアウトプット
いま個人的にハマっていることがあれば教えてください。
性格的に自分はすごく飽きっぽくもあるので、ハマる時期とそうじゃない時期はありますが、その中で最近は謎にYouTuberブームが来ていて。YouTuberをやりたいわけではないですが、YouTuberさんの動画を見るのにはハマっています。
YouTuberさんの動画を見るのはだいたいメイクをするときで、今までは音楽をかけていましたが、そのときはけっこうその音楽に傾倒しちゃうというか。シューゲイズを聴いた日は、服装はすごく原宿なのに顔だけめちゃゴステイストみたいな、メイクのスタイルが音楽に左右されちゃうことが多くて。それでちょっと変えてみようと思って、あるときからYouTuberで同じ事務所のとうあちゃんのメイク動画とかを見るようになったら、友達とメイクしているみたいな気持ちになって楽しくなりました。あとは料理をしているときにクッキング動画とかを見たりもしますし、動画の中の人と同じことをやるのにハマっています。
YouTubeなどのコンテンツに関して、こだわりはありますか?
YouTubeなどに関してはそもそも、いわゆるVlogのようなものを作りたかったわけではなかったです。でもアーティストのパーソナルな一面を見るのは私もすごく好きで、K-POPアーティストのパーソナルな部分が見られる番組とかは好きですし、TohjiさんやElle TeresaさんのVlogとかも見ていて。クールだけど、本人たちのパーソナルが見えるVlogがいいなと思って、そういうものを参考にしつつ編集はしています。
作品を生むうえで、何からインスピレーションを受けますか?
音楽を作るのと、SNSのコンテンツを作るのは別ですね。SNSは小さいころからやっていたのもあって、潜在的にやりたいことが明確にあるので、わりと考えずにいろいろなアイデアが出てきます。逆に音楽に関しては、自分は作り手としては新参者ではあるので、いろいろと考えることが多い。レコーディングの日まで歌詞が全然できてないこともけっこうあるので、チームのみんなで一緒に「こういう言い回しがいいのかな」とか、とことん話し合います。私は聞き手のアイデアや意見がすごく大事だなと思っているので、音楽はみんなで考えて、それをアウトプットしている感じですね。
それに関しては、レコーディングエンジニアの方だったり、マネージャーさんだったり、チームのみなさんがMANONのイメージや世界観を共通認識で持っていてくれるからこそできている感覚があります。違う方たちとのやり取りだったらきっと生まれないものがたくさんあって。私のことをちゃんと認識してくれているからこそ、「MANONだったらこういうやり方だよね」っていうのを理解してくれて提案してくれているのはすごく感じます。
最近、力を入れていることやチャレンジしていることは?
どちらかと言うと私は、その場で生まれたアイデアや、関わりを通して生まれたアイデアが良い方向に進むと信じていて。今年に入ってSNSのスチールコンテンツにも力を入れていて、コンセプチュアルな作品撮りを試しています。もちろんファンのみなさんとかフォロワーのみなさんがいいねしてくれたらうれしいですし、何かプロダクトのPRのお話が来たときに、「MANONのクリエイティブで表現してみてほしい、MANONとだからこそご一緒したい!」と言ってもらえたらうれしい。
縦や横のしがらみを壊し、交差し合ってつくる未来。
MANON さんの“自分らしさ”はどこにあると思いますか?
私はメイクやファッションも毎回けっこう違いますし、作る音楽もその時々に受けた刺激に影響されるタイプなので、“七変化”が一貫して自分の中のテーマとしてあるのかもしれません。10代のときからずっとやりたいことがあってまだ実現してはいないですが、いろいろな自分が出てくるミュージックビデオを作ってみたい。例えば“チーム友達”とか、たくさんの人が出てくるミュージックビデオを、MANONひとりでやるみたいな。その意味で、変化を恐れるというよりも、むしろそれが自己表現みたいな感覚はあります。
今ではすごくお世話になっているオカモトレイジさんとかは、まさに“七変化”だなって。ドラマーだけどDJもやって、SNSを見ると最近はビジュアル系にハマられていて。ビジュアル系メイク × カジュアルなファッションで証明写真を撮っているInstagramの写真がヤバかったです。この前は下北のCREAMでやっている「惨劇の夜」っていうビジュアル系オンリーのDJ&ライブイベントがあって、そこでレイジさんはロリータファッションでした。スタイリングした主催の女性の方がいらっしゃって話したらすごく楽しかったですし、自分もフランスにルーツがあるので、ガチのフランス人形を目指した路線でやったら面白いかもって思いましたね。
今後チャレンジしていきたいことを教えてください。
以前からトライしているハイパーポップやエレクトロのジャンル感は持ちつつも、“違うタイプ”っていう曲をリリースしてからは、自分の音楽性の中にギターサウンドなど“ロック”のエッセンスを取り入れています。自分でもギターを買って……そうだ! ギターもすごくハマってますね。
今はギターで好きな曲を調べて弾けるようになる工程が楽しい。曲をリリースして初めてのライブで、サポートギターの方をお招きして披露させてもらいました。自分の中での新しいチャレンジでしたし、これからは新しいライブのスタイルを持って、自分がまだ出たことのないフィールドでもパフォーマンスしていきたい。今まではわりとクラブのアンダーグラウンドなイベントに出させていただくことが多かったけど、例えばフェスやサーキット系のイベントとか、いろいろな方が出るイベントにもチャレンジしたいです。
MANONさんが10年後に思い描く、理想の自分や未来は?
個人的に10年後に自分がどうありたいかで言うと、私がいろいろな人に影響を受けまくってきたので、この経験を生かして自分も人を動かせる人物になりたいです。MANONの影響で何かを始める人がもっと増えたらうれしいですし、自分が得てきた経験を人に与えたい。そういう人がいっぱい増えたらもっと楽しくなるのかなって思います。
あとは東京に来て実感したのが、縦とか横とかのしがらみを壊して、みんなが交差し合っているってこと。例えばイベントでお会いする年齢的にもキャリア的にも上の方が、自分のことをすごく持ち上げてくださったり、ライブにブッキングしてくださったり、いろいろな方がフックアップしてくれました。それは東京の良さでもあると思うので、10年後とかにさらに自分が大人になったときは、そういうことをできたらいいですね。
自分よりも下の世代の子たちを自分が持ち上げて、一緒に盛り上げていきたい。今の時代は自分のときよりもさらに10代でクリエイティブな人が増えているし、それがこのまま広がっていったら、未来はもっと面白いことができるはず。自分も常にフレッシュな感覚で新しいことを取り入れて、自分なりに表現する人物でありたいと思います。
変化を恐れず、むしろ楽しむ。その感覚は言うは易し行うは難しで、アーティストとして人の目につくことが増えるほど、反響がSNSというプラットフォームでダイレクトに届く社会になるほど、変化し続けることは容易いことではない。そんな中でもMANONは、瞬間的なアイデアや直感、チームとしてのクリエイティブを信じて、この先も“七変化”しながら時代を泳いでいく。そして自らが受けた恩を律儀に返すように、若い才能をフックアップするだろう。アーティスト・MANONの今後はますます光り輝いていく。
MANON
福岡県出身の23歳。dodo、LEXといった新鋭アーティストから藤原ヒロシ、ケロ・ケロ・ボニトまで多岐のコラボも話題になってきた。 アーティスト活動、ストリートからモードまで着こなすモデル活動と、音楽・ファッションを横断した活躍で注目を集めている。現在は、アーティスト×クリエイティブコレクティブ「bala」でも活動中。 2025年5月にはDigital Single「違うタイプ」をリリース。 TOY’S FACTORYからメジャーデビューを果たしたSATOHの Linna Figg プロデュースを担当。 Hyperpopの雰囲気を感じつつも、ミクスチャー・ロックの疾走感と“ギャル”の情緒が混ざり合う、新たなMANON像が描き出された。恋に落ちた相手は、自分とは“違うタイプ”。だけど、その違いにこそ惹かれてしまう̶̶。そんな複雑でドラマティックな恋心を、甘くてスリリングなビートと共に歌い上げた、MANONのネクスト・アンセム。

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